必要な習字道具を揃え終わったら、字を書き始める前にもう一つやらなくてはならない大切な事があります。
それは「筆をおろす」ことです。
買ったばかりの筆は毛の先端までカチコチに固まっていませんか?
その筆を字が書けるようにほぐす作業を「筆をおろす」と言います。
これをしっかりおこなわないと、筆がすぐ傷む原因になってしまいます。
ですので今回は筆の下ろし方のポイントをきちんと押さえていきましょう!
習字の筆はどこまでおろすのか?
買ったばかりの筆の毛は糊によって固められています。
この糊を取り除くことで筆をおろし、字が書ける状態にしてあげます。
問題は毛のどこまでおろすのかということですが、
毛先から根本まで全ておろしましょう。
ときどき半分ほどしかおろさずに筆を使っている方がいらっしゃいますが、これは絶対にやってはいけません。
半分だけおろした状態で使っていると、糊で固まったままの所とおろした所の境目に墨が溜まり筆が固まっていってしまいます。
するとそこから傷んでいき、毛が切れてしまう原因になります。
こうなってしまうと糊と墨で固まった所は洗ってもほぐれなくなり、筆を再生させることはほぼ不可能になってしまいます。
また半分だけおろして使っている方の中には、書くときに線の太さを固定できるから良いと言う方もいらっしゃいます。
しかし習字とは字の丁寧さだけでなく、文字の線の太い細い(一般的に強弱をつけるとも言います)をいかに出すかによっても作品の良さが変わってきます。
ですのでこの点においても、どのくらいの筆圧で書いたら字の太さが変わるのかを学ぶ為に、筆は全ておろすべきでしょう。
習字の筆のおろし方は丁寧に!
ではさっそく筆をおろしていきましょう。
ここからは私が教室の先生に直接教わった方法をご紹介していきます。
新しい筆は、丁寧に水で洗って糊を落としていきます。
筆の洗い方でもご紹介したのと同様に、流水か水を入れたバケツの中で洗っていきましょう。
流水で洗う際は水が毛の部分に直接かからないよう、柄の部分(書くときに手で持つあたり)に水を当てます。
そして親指と人差し指の腹で優しく押すようにして、毛先から根元にかけて筆をほぐしていきます。
感覚としては、洗うと言うよりも糊をゆっくりと水で溶かし落とすようなイメージです。
時間のかかる作業なので、途中から力を入れたくなるかもしれませんが我慢です。
糊が落ちていない状態の筆を強引に折り曲げたりしてしまうと、毛が折れて傷む原因になってしまいます。
とにかく丁寧に、根気よく、毛先から順番に根元までしっかりおろしていきましょう。
おろした習字の筆はどう保管する?
根元までしっかりと糊は落とせたでしょうか?
おろし終わった後の筆は、そのまま道具箱にしまわず乾かしましょう。
穂先を下にして、直接日の当たらない場所へ吊るしておきます。
吊るす方法は、筆の洗い方の記事でも紹介しています。
乾いた筆は、道具箱の中や筆巻きなどにしまっておきましょう。
筆を買った際に筆先にプラスチックのキャップがついていたと思います。
これに洗い終わった筆を入れて保管している方が時々いらっしゃいますが、キャップは商品を売る際に筆先を保護するためについているものなので筆をおろした後は不要になりますから捨ててしまって構いません。
洗ったばかりの筆にキャップをしてしまうと筆が蒸れてカビなどが生える原因にもなりますし、乾かした後の筆にキャップをすることも毛先が曲がって変な癖を付けてしまう原因になりますので使わないよう捨ててしまうことを私はおすすめします。
まとめ
新しい筆をおろすときには少しでも長持ちするように、丁寧におろしてあげましょう。
少し時間が掛かって面倒な作業かとは思いますが、この初めの一歩を怠けてしまうとすぐに筆を買い替えなければならない、なんてことにもなりかねません。
字を書く練習をするだけでなく、こうした道具の手入れにも気を配ることも大切です。